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去りにし日々、今ひとたびの幻 [本と雑誌]



ボブ・ショウの本を読了。

「取り込んだ光が遅れて開放される」特性を持つスロー・ガラスのアイデアを背景に、その時代の人と、発明者の人生を描いたSF小説でした。

ガラス越しの光景が遅れて投影される、融通の効かない映写機のようなガラスが及ぼした世の中への影響がまず面白いです。
美しい風景を取り込んで「風景窓」として売り出す商売が隆盛を極め「5年物(5年間風景を映し続ける)」「10年もの」などと言った呼ばれ方をしているのが人間味を感じます。

アルバン・ギャロットは不器用な男性で、妻の父親の資金援助で技術開発をする会社をどうにか経営していますが、新型の超音速旅客機の耐熱窓用に作ったガラスが、スローガラスであることがわかり、その発明者として巨万の富を築き上げます。

同時にこのガラスは、社会を一変させるような影響を世界中に与えました。

いくつかの短編をまとめた長編となっているので、その世界に住むある晩以外の人々も描かれます。

偶々映り込んだ、今は亡き家族の光景に浸る人の話はもの悲しさを覚えます。

スローガラスが証明するはずの事件の真相を5年間待った判事の話は、時間の残酷さを感じたりもしますね。

アルバンの方の話では、スローガラスをトリックに使った推理ものなども描かれていました。

そしてその事件にかかわった際の転機が、心を停滞させていた、彼の人生を大きく進ませることにある構図が、SFアイデアとの対比としても素晴らしく、開放感のあるものでした。

大変面白い読書でした。良い本です。
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株式会社シミズ貴石さま( @shimizu_kiseki ) 原石からのカット~お仕立てオーダー体験記 [ホビー]

2022/4/22 追記
現在は原石持ち込みでのファセットカット(さくらイン、ダンデライオンカット等)は受け付けていません。
甲州石切子に関しては、引き続き受け付けを検討してくださる、とのことです。ご留意ください。



2021年8月から年末にかけまして、甲府でも有数の技術と人気を持つ貴石・宝石研磨の会社「株式会社 シミズ貴石」さまと、原石からのカット、および装飾品ジュエリーへのお仕立てをお願いするという、素人鉱物収集家としては得難い経験をさせていただきました。

株式会社シミズ貴石様
URL:http://www.s-kiseki.co.jp/
ツィッター:https://twitter.com/shimizu_kiseki
インスタグラム:https://www.instagram.com/shimizu_kiseki/

※2022/3/1 追記
オーダーページが、より注文しやすくなりました。
https://linktr.ee/shimizukiseki



昨今のシミズ貴石さまの人気の盛り上がりを鑑みるに、同じようにオーダーやお仕立てをお願いしたい潜在ユーザーは多いのではと思っています。

かくいう私もその一人でして、今回ちょっとした話の流れから、思い切って踏み切ることが出来ました。
そこで、私と同じように、シミズ貴石様にオーダーしたいが、よくわからないという方の参考と、今回大変お世話になったシミズ貴石様の宣伝にでもなれば、という気持ちから、一連の流れを記事にしておこうと思います。

先にお断りしておきますが、今回紹介するのは、あくまで私のオーダーの場合をサンプルケースとした紹介になります。人によって、また、オーダー内容によって、そのやり取りはケースバイケースになることはご留意ください。
大まかには同じと思いますが、念のため書いておきます。


ステップ(1):シミズ貴石様へコンタクト(共通)

さて、オーダーするには、とにもかくにもシミズ貴石様に連絡を取らなければなりません。
連絡にはメールが良いです。メールアドレスはホームページに記載があります。

http://www.s-kiseki.co.jp/ORDER/index.html

オーダーに関しては、基本的に、この「ご注文方法」のページに記載の通りにすればOKです。
私の場合は原石からのカットなど、細かい事をお願いしたのでちょっと逸脱していますが、以下に紹介するステップも、おおむね基本的な流れに沿っています。

ツィッターやインスタグラムなどのSNS経由でまずは話しかけてみる、と言うのも悪くは無いですが、住所や金銭のやり取りなどのデリケートな情報はメールで行うことを強くお勧めします。

理由は2点あります。

シミズ貴石様はビジネス、お仕事としてオーダーを受けてくださっておりますので、その商取引としての記録・証拠の為にもメールが良いというのが1点。

SNSの場合、アカウント乗っ取りなどと言ったトラブルは容易に起こるというのがもう1点です。
一般のユーザーの感覚ではなかなか信じられないかもしれませんが、IT業界で仕事している私としては、実感としてSNSのアカウントは簡単に乗っ取られるものとして扱っています。それによる個人情報の抜き取りや、なりすましなどを避けるために、具体的な商取引はメールで行ってください。

連絡の際には、何をお願いしたいのか、を整理して明確に伝えてください。
ルースを購入したい場合は、記入例を参考に、欲しい石の種類、カットの種類(さくらインカット、甲州石切子、など)を一覧にすると良いです。

私のような原石からのカットオーダーの場合は、カットしてほしい原石の種類などをまずは伝えるのが良いでしょう。


ステップ2:原石の情報を伝える(原石のカットオーダーの場合のみ)

ステップ1で伝えた石がカットできるかどうか、シミズ貴石様から見解をいただけると思います。

参考までに、カット―オーダーでは、以下の石の、原石持ち込みでのカットは受け付けていません。

・硬度8.5以上の石(天然コランダム、スピネル等)、

・硬度4以下の石(フローライト等)、

・パライバトルマリン、アレキサンドライト

BtoB取引・お互い業者間での取引など、ケースバイケースで違うとは思いますが、一般的に上記は無理と思ってください。
他にもデリケートだったりレアすぎたり固すぎたりで、カット加工を依頼できない石はありますので、シミズ貴石様のご案内に従ってください。

カットをお願いできる石の場合、まずはメールで依頼したい原石の状態を伝えるのが良いでしょう。

定規やライトを使用して、原石の大きさや内部の傷の具合がわかるような写真を何枚か撮ってメールで送って見てもらうのが良いでしょう。
職人さまに見ていただいて、カットできる見込みがある石かどうか、判断してもらいます。

以下は、私が実際に送ったアクアマリン原石の写真うちの一部です。撮り方の参考にしてみてください。

IMGP4458.JPG
IMGP4456.JPG
IMGP4487.JPG

SNSに張り付ける写真ではないので、見栄えの良い写真である必要は無いです。
それよりも原石の正確な大きさと状態が伝わるように、角度を変えて何枚も写真を撮って同封するのが良いです。

写真を見ていただいて、カットできそうな石であれば、その旨お返事を頂けますので、次のステップに進みます。


ステップ3:原石の送付(原石のカットオーダーの場合のみ)

本当にカットに耐える原石かどうか、直接職人様方に見ていただくために(あとは実際にカットしていただくためにも)、シミズ貴石様に原石を送付します。

宅配便が安全で良いと思います。ワレモノ扱いで、原石を緩衝材で大事に保護して発送します。


ステップ4:カットオーダーの内容を決める(原石のカットオーダーの場合のみ)

シミズ貴石様に原石が届きまして、職人さまがたに直接石を見ていただくことで、どのようなカットが可能か、判断していただくことができます。
カットできない場合も、この時点でわかるので、そのあとはシミズ貴石様のガイダンスに従ってください。

どのようなカットが可能かはもちろん原石に寄りますが、一般的にさくらインカットなどのオリジナルデザインのラウンド系、その他通常のルース形状、甲州石切子は依頼できます。

カット料金はケースバイケースなので一概に言えませんが、私の場合を参考にすると、さくらインカットなどのラウンド系は1万円弱前後(原石の状態のほか、大きさにも左右されます)、甲州石切子は3~4万円前後程度(原石の状態のほか、大きさにも左右されます)を目安に予算を立てると良いと思います。

一方で180面桔梗カットは原石持ち込みでは受け付けていませんでした。
桜切子も原石持ち込みでは受け付けていません。
他にも一般の原石持ち込みオーダーで受け付けてないカットはあると思いますので、シミズ貴石様のガイダンスに従ってください。

カット加工の内容の選択肢はシミズ貴石様が示してくださいますので、自分の希望と予算を鑑みて、依頼内容を決めて、シミズ貴石様に連絡してください。
(原石の状態にもよりますが、私の場合は必殺技「職人様にお任せ」すら可能でしたことを、申し添えておきます。届くまでドッキドキでしたよ、ええ)

なお、原石は、カット加工中に破損してしまうリスクがあります。天然のものを人の手で加工する以上、これは当然のことです。
そうなると取り返しがつきませんので、カットオーダーの際は、覚悟を決めてGOサインを出してください。


ステップ5:ジュエリーへのお仕立ての相談(共通)

原石のカットが仕上がったか、オーダーした種類の石のカットが仕上がったら、ジュエリーへのお仕立ても相談できます。
こちらもお仕立ての内容はシミズ貴石様に相談することができますので、予算と希望に応じてオーダー内容を決めて、連絡してください。


ステップ6:出来上がり(共通)

無事に出来上がりましたら、シミズ貴石様から受け取ってください。
私の場合は点数も多く、オーダー内容も細かかったのもあって、トータルで半年ぐらい、仕上がりまでにやり取りしていました。
シミズ貴石様の混雑具合にもよるので、仕上がり時期は、オーダーの都度確認するのが良いと思います。


対面の瞬間は、まさに感動です。

うちの子の仕上がりはこんな感じ。
(カットオーダーの3石ほかに白水晶の180面桔梗カットのペンダントもオーダーしてたので全部で4個)
all.jpg
IMG_0600.JPG


紅いオレゴンサンストーン原石
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仕上がりのリング
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緑のオレゴンサンストーン原石
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仕上がりのルース
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アクアマリンの原石
aqua01.jpg

甲州石切子
aqua02.jpg

aqua03.jpg

一連のツィートも張っておきますね。













一通りやり取りしてみて、シミズ貴石様の対応は総じて大変丁寧で親切でした。
細かい悩みや相談、注文、問い合わせにも、根気よく対応いただけたと感じています。
むしろ、過分なお心遣いまでしていただいて、恐縮しきりでした。

私の方は大分おっかなびっくりでして、めんどくさい客だったと思いますが(苦笑)、おかげで、信頼してお任せすることが出来ました。
職人様方の技術に関しては、すでに全幅の信頼を置いていたので、この点とてもありがたかったです。

ご興味のある方は、ぜひ一度相談してみてください。

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プロジェクト・ヘイル・メアリー [本と雑誌]


プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2021/12/16
  • メディア: Kindle版



「火星の人(邦題:オデッセイ)」の原作で一躍メジャーになった、アンディ・ウィアーの新作です。
ツィッターで流れてきて新作が出たのを知って、取るものもとりあえずポチって一気に読了してました。


いやあもう最っ高に面白い!
面白いんですが、どこを紹介しようとしてもネタバレになり、ネタバレが致命的な類の作品なので、さてどう紹介するか(悩

主人公はある部屋で目覚めます。目覚めますが自分がどこにいるか、自分が誰か。自分の名前すら思い出せない。
何故か世話をしてくれるロボットアームに身をゆだねながら徐々に意識がはっきりしていきますが、何もわからない。
どうにか動き出して、自分のベッドのほかに二つのベッドがある事がわかりますが、そこには物言わぬ男女のミイラが横たわっているのみ。

やがていくつかの実験を経て自分の状況を少しずつ把握し、並行してよみがえってくる記憶を垣間見ることで、滅亡のカウントダウンが始まった地球を救う任務が自分にある事、未だ大部分の記憶を失った状況であることがわかってきます。

ミッションのために、様々な探求をする「現在」と、よみがえってくる記憶による「過去」の話が並行で進み、奇妙なパラドックスを読者に与えつつ、雪だるま式に大事になっていく物語が、息をもつかせぬ興奮に、読者を放り込んでいく。
そんな物語でした。

いやはや、読み進めるうちに、「そんな馬鹿な」と口をついて出ることが幾たびあったことか。
次々に提示される展開や事実、情報が滝のように押し寄せる、素晴らしい勢いのある読書が楽しめる作品です。

そして結末には、それまでが嘘のような温かいものが心を満たしてくれる。
そんな素敵な物語でもありました。

やあもう最高ですね。おすすめです。
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2022年あけました [雑記]

今年もよろしく。

特に書くこともないのであいさつ程度に。
今年はファイザーの飲み薬が実用化されると思うので、コロナも対処可能な病気になると思います。
そうしたら色々活動を再開していきたいですね。
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2021年ゆくとしくるとし [雑記]

さて恒例の年末日記ですが、そうですねえ。何を書こうか。
まだ酔っぱらってます(笑 紅白見つつ書きながら少しずつ素面に回復してくる見込み

今年は、相変わらずコロナ警戒の一念でしたが、11月ぐらいの感染低調を見て、日常がいくらか戻った年でもありました。

夏のオリンピックに向けては、ひたすら反対、徹底抗戦の言説をネットに流しましたが、力及ばす開催されることに。

おかげでアスリートに対する非常によくない偏見(と言いつつ、正当な評価とも思いますが)自己中心的で周りのこと・被害など考えない、という見方が確定しました。

コミックマーケケット99、冬コミが開催できたことは、掛け値なしに良い出来事でした。
僕は相当厳し目のリスク評価でコロナ禍を過ごしていますが、それに照らしても、冬コミでの対応(来場者抑制、ワクチン検査パッケージの適用、事前のアナウンス、最終的なGO、NOGO判断)は納得のいくものでした。

それに比べて東京オリンピックはグダグダでとても褒められるものではありませんでしたが。
あれが反面教師になったのではと思います。

自分としての年内で大きなイベントとしては、シミズ貴石様へのカットオーダーを含めた一連のオーダーと思います。


これに関しては来年早々に記事にまとめたく思いますが。
金額の規模も大きかったですが、何よりも、かねてよりあこがれのカットオーダー、仕立てオーダーを、ほかならぬシミズ貴石様にお願いできたのは望外の喜びでした。
2021年は、引き続きイベント自粛うということでミネラルショーには一切出かけなかったので。
その代わりに、そのリビドーを全部つぎ込んだ感じでしたねー。
また良い原石を得た際には、またお願いしたく思います。

今年は、政権や政治への批判を強めた1年でもありました。

元々は政治的な発言は避けていたツィッターやブログのアカウントで、大分積極的に政権批判、政策批判を流したと思います。

今後、そういうのを特に押さえようとは思いませんので引き続き出して行きますが、言いたい事があって、発言できるアカウントがあるのであれば、黙っているより発言した方が好い、というのは今年学んだことと思います。
それに意味があるかというと、まあ無いのですが。
ため込んでるよりは書いて出してしまった方がが良いなと。

今年は仕事の面でも大きな刺激、というかストレスがありました。
色々任せてもらえるのは素直に嬉しいですが、明らかなキャパオーバーに気付かぬうちに入っておりまして。
久しぶりに病みましたな。
色々調整はもうできる範囲では済ませたので。
この年末年始で内心を落ち着けて、来年のお仕事に臨みたいところです。

今年はそんな感じでしたが、さて来年はどうなる事か。

ファイザーの飲み薬がある程度普通に使えるようになれば、事実上コロナ禍は終わりと考えています。9割5分治るなら、コロナももうインフルエンザと同じでいいでしょう。
それがいつ来るか、で、色々なリスク評価の線引きにしようと考えていますが、さてそれがいつになるか。
出来れば年度替わり前後で来てくれると嬉しいですが。さてさて。

まあ期待も不安もありますが、あーだこーだ言っても時計は進むので、2021年も終わりです。

例年に比べて感慨深いというのは薄いですけど。

ともあれ、今年もお世話になりました。

来年もよろしくお願いします。

さて、年末へんたつ新作を待ちながら、年を越していきます。


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コミックマーケット99 (前日設営だけ)参加日記 #C99A #C99 [コミケ日記]

2年ぶりのコミックマーケット開催。

オミクロン株の感染拡大もあり、当日の一般参加は見送ることを早々に決めていたのですが。
五輪マフィアによる搾取からの会場奪還とコロナ禍を超えつつある中でのようやくの開催ということで、「何か関わりたい」という気持ちはくすぶっておりました。

コミティアと違いクラウドファウンディングなどの支援もないので気持ちを抱えているだけでしたが、直前ぐらいに設営部公式のツィートが流れてきまして。



前日設営なら人数も少なくて蜜などのリスクも低いから、割と厳しめにしている自分のリスク評価でも協議の結果GOサインが出たので、参加方法を調べて参加することにしました。

ほぼ学生時代ぶり(確か社会人になっても新人の頃に2,3回ぐらい、都合がつくときは参加した覚えがありますが)だから、かれこれ十数年はブランクがあります。

40代半ばという年齢と、コロナ禍でのヒキコモリ生活で体力の低下が否めず、戦力になるか不安でしたが、まあ無理の無い範囲でやろうかということで、滑り止め付きの高性能軍手を準備していざ出陣。



当日のツィート、無駄にテンション上がってますね(笑

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最後の参加が2019年の多分夏コミ(例の入場待機列誘導トラブルで死にかけました)で、冬は体調悪くて見送ったので2年半ぶりぐらいのコミケのビッグサイト。

中に入ると、そこかしこでガトーが雄たけびを上げていました(笑

感染対策のため、前日設営も事前の登録が必要。消毒検温本人確認などされます。

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入場のリストバンドは取っておきたかったんですが、作業中にちぎれたのか、どこかに行ってしまいました。

いつもの説明会では、棟梁の変わらぬ姿を拝見し、なにか気分が学生時代に戻りましたね。

心配していた作業ですが、思った以上に体が動いてスムーズにお手伝い出来ました。
過去あんまりやって無かった机配る役とかも率先して動けたので、案外に自分まだまだいけるなあ、と嬉しくなり、脳内麻薬ドバドバで大変楽しかったです。

棟梁がびっくりするスピードであっという間に机は並び。

奪還した東館に、整然と机が並びました。

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二年のブランクがありましたが、だれ一人なまっている様子がなかったので心強かった。

コミケ当日行かないので、ビッグサイトのお土産にデンキブランとバナナの人形焼きを買って無事帰宅。

コミケットへのクラファン支援のつもりで記念画集と紙袋なども買って帰りました。

これて、はじまる前から僕のコミケは終わり。

当日はツィッター越しに会場の様子を眺めて楽しみまして、おおむね無事に済みそうな様子を喜んでおります。

来年は、一般参加を検討していきたいですねー。
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クリエイターとクライアントはなぜ不毛な争いを繰り広げてしまうのか? [本と雑誌]





読了しました。

最初に書いておくと、暴露本では無く、ちゃんとしたビジネス新書です。
(新書にちゃんとした、という言葉付けるもの変かもしれませんが、直感的なのでこう表現しておきます)

僕自身けものフレンズの監督降板騒動では少なからぬトラウマを負っているので多少期待したのは否定しませんが、福原さんはちゃんとしたプロデューサーなので(どこかの細い人とは違い)そういう内容じゃないだろうなとも思っていたので、特にがっかりはしません。
いわゆる「9.25」で時計が止まってしまったままの人にとってはつまらない内容だと思いますが、その後前に進んでちゃんとした仕事している人にはビジネス書として十分面白いのではないかと思います。

概要としてはタイトルの通りで、アニメやマンガ、ゲーム、音楽など、エンターテインメント業界でお二人が経験してきた不幸なもめごとの数々から見出してきた、一定の共通項「クエリエイターとクライアントの間のもめごとは、主にお互いがお互いを理解していない点から起こることが多い」ことを文章化(見える化)し、公知することで共通認識としていき、少しでも不幸なトラブルを減らしていければ良いな、という内容です。

章立てが論理立っており、よくできています。

まずはクリエイターとクライアントってこういうもんだよね、というざっくりとした全体像の紹介から始まり、クリエイティブなビジネスの工程である、準備、発注、納品、納品後、の、それぞれの順を追って、トラブルの事例や、それがなぜ起きるのか、防ぐにはどうしたら良いかの例示・提案、を対談形式で述べています。

読んだ感じ、福原さんが対談の相手に、やしろさん を選んだのは、これら困りごとを言語化できる人だからですね。まともにサラリーマンやってるビジネスパーソンならわかると思いますが「困りごとを言語化できる」というのは立派なスキルです。できない人はできないんだこれが。
まあでも、読んでみると「福原さんが対談相手を選んだ」というより、「お二人が一緒に仕事していているうちに「業界あるある」で共感して本にしようかという流れになった」のではないかと推察します。

土台がクリエイター業界なので、もちろんその筋の人に向けた内容ですが、ビジネス上での相互理解の重要さとその具体例と言うのは僕の居るIT業界でも同じく重要なので、業界外の方でも得るものが多い内容ですね。僕は素直にそのあたり大変勉強になりました。

個人的に面白かったのは「電話がかかってくるとクリエイターは緊張する」辺りで、僕も電話苦手なので、やしろさんの気持ちがすげえよくわかります(笑
脳みそフルで回しながらガギガリコード書いてるときとか仕様書書いてるときに電話かかってくると死ぬかと思いますね。

後は「クリエイターは請求書出すのに物凄いエネルギーがいる」と言うのも共感できます。
僕は業務でしょっちゅう請求書の処理をしていますが、それでもお金を扱うので緊張しますし、ましてや慣れてない個人営業のクリエーターの方は、やりたくねえだろうなあ、と言うのは推察して余りありますなー。

付録に、本文で紹介されていたヒアリングシート、リテイクシートの具体例があるのは良いですね。
僕らの仕事(IT系開発者)だとQA表が近いですが、こういうフォーマットって現場や業界ごとに工夫があるので、それを例示してもらえるのは、この業界の方は嬉しいのではないでしょうか。

対談形式なので文体も読みやすく、分量的にも1時間ちょっとで読めるので読みやすいです。

大変面白い読書でした。おすすめ。
クリエイター業界では、時々眺めているジョヴァンニワークスさんが公開してくれているYouTubeチャンネルの業界ハウツー動画とも重なる部分があるなあと思い、興味深かったです。
別件ですみませんが、あちらの動画もお勧めです。

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感染症疫学のためのデータ分析入門 [本と雑誌]


感染症疫学のためのデータ分析入門

感染症疫学のためのデータ分析入門

  • 出版社/メーカー: 金芳堂
  • 発売日: 2021/10/10
  • メディア: 単行本



のんびり読んでいた本を読了。

自他ともに「8割おじさん」と認める西浦先生の著書です。まあ8割おじさんの呼び名も言われなくなって久しいですが。言われない世界の方が、平和で良いですよね、西浦先生。

さておき、日本における数少ない(らしい)感染症疫学の専門教授、西浦先生とその研究室が全力で、後進のために書き上げた教科書です。

そう、教科書です。前著のような読み物ではありません。

なのでこの学問に興味があるのでなければ読む本ではないでしょう。僕はこのコロナ禍において、国防の最前線に立っていたこの学問がどんなものか、その一端でも触れられれば、ということで読んでみた次第。

内容としてはまさに教科書で、感染症疫学という学問の成り立ちと歴史から始まり、HICやSARS、COVID-19などの実例をサンプルに、この学問の組み立てと、数式の成り立ち、解説などの内容になります。

また実践的な疫学として、調査の手法や酒類、防疫の手法と効果、選択肢などが詳説されています。

まあ例によって半分も理解できてはおりませんが、それでも色々と勉強になる内容です。

海外からの渡航者への検疫が自分が考えた以上に重要であるとか、基本的に感染症対策はマップ兵器の打ち合いである(恐ろしいなもう)とか、分科会の先生方の提言がどういうところに根差したものであるかと言うのがいくらか理解できたのは期待通りの成果でした。

ほんと、ウィルスとの闘いはマップ兵器の打ち合いです。

感染者を1個体見逃したとして、そこから広がる感染者はその個体を中心とした範囲で広がるところとか、逆に検疫で陽性者を一人隔離できれば、そこを起点に広がるはずだった感染を範囲で止められるとか。

ゲーム脳で行くとマップ兵器ですねー、こういう概念は。

最前線で戦われている皆様のご苦労に改めて敬意を表します。

最後に1節ありました、西浦先生の「反省メモ」は、短いながらも身につまされる思いに胸が痛くなりました。GOTO行政はすべからくクソですな。

良い読書でした。
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書架探偵 [本と雑誌]


書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

書架の探偵 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/06/22
  • メディア: 単行本



あんず文庫で買い込んだ本です。のんびり読んでおりました。
SF仕立ての推理小説という感じで良かったですね。そういえばアシモフにもそういう作品がありましたが、こちらは全然雰囲気が違います。

近未来。陸ローン(複製)技術により、生前に江守―を作成した人間の複製人間が普通に居る世界。図書館には、作家の陸ローンが「蔵者」として納められている世界が舞台です。

ある女性が、父と兄の死に関係する本の著者を図書館から借りだすところから話は始まります。

SF、ミステリの作家の複製である彼は、女性がはらむ謎解きに挑むことになるのですが、この筋が一癖も蓋癖もあり、実に面白い。

作中世界に関しても、著者を所蔵する、という、どこか背徳的ながら、本読みとしては何とも惹かれる設定が読んでいてぞくぞくします。

リクローンは「もの」であるので、もちろん人権はありません。ある事情から孤立した彼はそのことを隠しながら、協力者と出会い、謎解きと、自らの生存に向けて行動していくのです。

エンターテインメントとして非常に楽しい本でした。おすすめです。

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ミセス・クロウコムに学ぶ ヴィクトリア朝クッキング 男爵家料理人のレシピ帳 [本と雑誌]


ミセス・クロウコムに学ぶ ヴィクトリア朝クッキング 男爵家料理人のレシピ帳

ミセス・クロウコムに学ぶ ヴィクトリア朝クッキング 男爵家料理人のレシピ帳

  • 出版社/メーカー: ホビージャパン
  • 発売日: 2021/08/20
  • メディア: 大型本



ここ数年、シャーロック・ホームズとコナンドイルを楽しみにしているのですが、作中に出てくる当時の料理の表現がなかなかおいしそうで(実際のイギリス料理の評判は、ご存知の通りですが)関連の本を1,2冊読んでいます。

そんな時、ツィッターで流れてきたこの本は大変興味深く、さっそく手に取らせていただきました。

現代人でも再現できる(もっとも、訳書の元はイギリスの本なので、だいぶイギリス基準です)ように調整されたレシピと言うのが魅力だと思って読んでみましたが、より重要なのは当時の風俗や、「声なき人々」、つまり貴族や役人と違い、記録に残らないような労働者階級の人々に関する言及ではないかとも思えました。

章ごとに挿入されるこれらの言及というか、元が研究者の本なので研究成果という感じですが、これが実に面白く。

同じくイギリスの市井の人々を描いたドイルの作品をより深く理解するうえで大変貴重な読書だったと思います。

さてレシピですが、実際日本で作るとなるとなかなか厳しいのでは、と言うのが感想ではあります。大分イギリス基準な印象。

例えばドイルの作中にも出てくる「うずらのパイ包み」などは、これはご家庭で気軽に作るというものではないなあという感じ。

ですが、朝食の章にある卵料理などは、あまり料理をしない自分(男性です)でも簡単に出来そうなものも多く、近いうちに試してみようかと思っています。

総じて興味深く、良い本でした。面白かったです。
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