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多様性の科学 [本と雑誌]


多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織

  • 作者: マシュー・サイド
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2021/06/25
  • メディア: Kindle版



社内掲示板で同じ住人から教えてもらった本。

ここ数年の社会・世界の混乱を見ていて多様性の重要性を認識・公言し始めたはいいが、ちゃんと系統だって学んでないなあ、と思っていた時に知ったので、これ幸いと読んでみました。

これの前に日本学術会議の多様性に関する講演(2022年秋ごろかな)を見たりはしていたのですが、あれはいかんせん1本1本の発表が短くて、面白くはあったけど踏み込めなかった感がしていました。これはもっと網羅的に具体的なテーマをいくつか例にして解説しています。

先に全体の感想を書いてしまうと、まあ面白かった。この手の本では久々に自分にヒットしました。
最初の章を読んで、面白いな、と思ってから、最後まで、ああ面白かった、が途切れなかったのでエンタメとしても十分に面白いです。

章立てというか、構成もよくできています。
まず9.11テロにおけるCIAの大失態で読者をひきつけつつ、記憶のどこかにある近代の事例を題材に、多様性に関するテーマを一つずつ解説、考察していきます。

随分話が広がったなあ、というあたりで、最後の章でいよいよ、読者が期待するであろう、実際に身近で運用するには、という話で結ぶ。

見事と呼ぶほかはありません。この著者の他の著作も読んでみたくなる見事な面白さでした。

内容は、タイトルにあるように多様性に関するレポートや検証の紹介、解説です。

一言で多様性と言っても、自分がイメージしていた「画一的ではない雑多ななにか」という漠然としたものにとどまらず、どのようなケース・モデルが成果につながり、それは何故か、どう働いたと考えられるか、というのが読みやすい文章と構成でつづられています。
読みやすいからと言って決してレベルが低いわけではなく、高度なことを、読みやすく書くことに成功してるので、著者の筆力が察せられます。

これを読んだからと言って、必ずしも劇的に自分の世界が変わるわけではないかもしれませんが(とはいえそれだけの威力のある内容であると思いました)、行き詰ったときに思い出してみると、ヒントになるようなことが沢山盛り込まれています。

そういった「気づきのきっかけ」にあふれている本でした。

例えば、ちょっと政治の話をしてしまいますが(うちのブログ見てる人には今更なおことわりですね)近年自分の大きな疑問が「財務省ってすごい頭のいいエリートが集まってるはずなのに、なぜあんな理屈に合わない事ばかりするのか」というのがあって、どうにも理解できないのですが、これに描かれているいくつかのケースが、あてはまる気がします。ちょうど冒頭のCIAの病巣が、まさにそのままという感じで、他にもいくつか。
財務省の人にぜひ読んで欲しい本ですね笑。

読み終わった後、少しググってみたらベストセラーに入ってるみたいですね。
この本が広く読まれているなら、世の中少しは明るくなることが期待できる、かもしれません。

大変素晴らしい読書でした。お勧めです。
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