見知らぬ者たちの船 [本と雑誌]
今回の読書はボブ・ショウ。これで手持ちのは全部読み倒したのでまた仕入れに行きたいところ。
イソップ船長に率いられた、宇宙測量調査船の1隻、サラファンド号と、6両の測量車、そして12人の、時々顔ぶれの変わる乗組員たちが舞台と主人公。
意欲的な宇宙探査とは全く違う、淡々と無価値な惑星の地図を作り続けるルーチンワークの旅で、実入りだけはいいので若者が一時の金稼ぎに働くような仕事で、なんとなく辞め損ねたサージナは、もう十何年もこの仕事を続けている。
危険は時折あるが、おおむね淡々とした仕事の様子を収めた短編集。
とはいえ起伏がないと物語にならないので、何かしらのトラブルが起きてわらわらするのがお約束。
解説によると、ヴァン・ヴォークトの「宇宙船ビーグル号」からのインスパイアとのことですが、あれ読んだの随分前だから内容あんまり覚えてない。
一行は地球から超光速ジャンプで外苑の惑星に飛んで行っては地図を作って帰ってくる仕事を続けています。
測量作業の途中で厄介なものを見つけたり、船内生活の新しいレクリエーションでトラブルが起きたり、うっかり地球外生命に狙われたりもします。
なんだかんだでベテランになってしまったサージナは、メンバーから頼られる立場ですが、タフガイというわけではないので、身の丈に合った対策を練ったり、単にうろたえたりしております。
トラブルの内容が、子の舞台ならではのもので、例えば好みの夢を見せる記憶テープの女性を取り合ったりなどと言うのは、過去読んだSFではついぞ見た覚えがありません。
こういう、親近感がわくスケールで、思いもよらぬ人間模様を見せてくれるのは、この作者の魅力なのでしょうか。
好きな短編集ということもあり、読みやすく、大変面白い本でした。おすすめ。