老人と宇宙 [本と雑誌]
今回の読書はジョン・スコルジー。
ハインライン御大の「宇宙の戦士」をほうふつとさせる星間戦争SFの大作です。
解説によれば出自が面白く、1970年代に人気ブロガーが自分のブログで連載していた小説が出版されたというものなので、今でいう「なろう」系や、2ちゃんねる発祥の掲示板Web小説といった具合なんですねー。
舞台は未来の世界。地球上は現代のわれわれの社会やテクノロジーからそれほど大きく進歩はしておらず、人類は主に地球上で生活していますが、この世界では75歳になるとコロニー防衛軍(CDF)に志願して新兵になることができる、という、変わった制度があります。
人生でやることをやりつくした老人が、噂される「若返り」を期待してCDFに入隊する社会。主人公のペリーもそういった老人の一人です。
共に入隊登録を済ませていた妻にはすでに先立たれており、何の未練もなくCDFに入隊した彼は、そこで新たな家族と、仲間と、戦友と、人生を得ることになります。
彼が飛び出した宇宙で、人類陣営は非常に厳しい状況でありながら、植民惑星を探してはコロニーを築き、大宇宙を舞台にした恐るべき生存競争を戦っているのです。
CDFの任務は、こうしたコロニーの防衛と、襲い掛かってくる敵性宇宙人(この世界ではほぼすべての宇宙種族がお互いに敵対しています)を殺しつくして殺されないようにすることです。
その戦力は頼りになるものですが、それでも宇宙では新興勢力である地球人類は、様々に苦労をしていますね。
新兵として入隊したペリー質の入隊過程や、恐るべき戦場と死。奇想天外なエイリアンと、読み進めるたびに新たな刺激があり、大変エキサイティングな快作です。
そして終盤の展開は。まさにこのストーリーが、壮大な愛の物語であることを語ってくれます。
素晴らしい読書でした。シリーズが何冊が出ているようなので、順次読んでいきたいですね。