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ポオのSFⅡ [本と雑誌]


ポオのSF〈2〉 (1980年) (講談社文庫)

ポオのSF〈2〉 (1980年) (講談社文庫)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/04/01
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマは先月費引き続きエドガー・アラン・ポオ。

まあ今月といいつつ、1日足が出たので3月分なのですが。

1巻と同じく先日の古書市で買い求めたものです、が、扉ページが破れてなくなっている…悲しい。まあ読むには問題ないですが。

今回はポオが晩年に書き上げ、「これを書いてしまったので生きている意味が亡くなった」と言わしめ、のちに自死につながった「ユリイカ」が大部分を占めます。

いや解説にそう書いてあってびっくりしたんですが。状況を考えあわせるにどうもそうらしいという。

「詩として扱ってほしい」というポオの願いとは裏腹に、十分中編の文章量がある怪作でした。

未来からの手紙による宇宙の真理のメッセージに始まり、主に空想、直感を基軸とした一大宇宙論を展開する本作は、論文のようでいて、文体はやはり詩編なのだなあとおもうところでもあります。

根拠のない、大いなる妄想の産物のようでありますが、読んでみると現代提唱されている宇宙論と根底がつながっているような部分もあり。

彼の生きた時代には影も形もなかったはずの推論に近しいものが書かれているとは。天才の直感とは、恐るべきものですね。

本の後半にまとめられた小編も終末論だったり、はたまた狂人の話だったりと、どこか凶器を感じさせます。

ポオの作風とは、こういう物なのですかねえ。

刺激的な読書でした。
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