偉い人ほどすぐ逃げる [本と雑誌]
ツィッターに流れてきて、タイトルが面白かったのでジャケ買い、というかタイトル買い。
基本、物語中心の本読みなので、評論の類は本買ってまでは読まないのですが。
昨今の世情でうんざりしてる中の少しガス抜きにでもなればという感じでしたが、期待していたよりもだいぶ面白かったです。
著者がライターとして世情を眺めていて、ここ数年に「文學界」という本に連載したもののまとめが主ですが、時系列ではなく、章のテーマごとに編集してあるのが読みやすくて良かったです。
タイトルから期待した”偉い人”の逃げっぷりはなるほど確かにということで面白かったですが、それ以外にここ数年で炎上したり問題になったりしては、忘れ去られていった四方山事を振り返ってみると、やはり「今」の世情につながっているのだな、と言うのがわかって面白かったです。
著者の意見には必ずしも全部賛同できるわけではなく、例えば「愛知トリエンナーレ」へのスタンスはだいぶ違うなあと思いましたが(むろんそのあとのリコール騒動が噴飯ものだったことは変わりませんが)まあ、全く同じ意見だ!と力強く頷くような読書も健全ではないですし、そもそも評論ですからそういう者だと思います。
アベノマスクの意外な効果や、虎ノ門ニュースの紹介など、自分と違った視点で見れたのも、良い学びになりました。
私も御多分に漏れず、ひとしきり騒いでは、この「忘れてもらおう作戦」にのってしまっていたなあ、と言うのは反省ですが、とはいえこれだけヒーローものの怪人のごとく週替わりで不祥事が騒がれる(コロナ禍に入ってからは日替わりですわね。しかもヒーローが解決してくれたりは全くない)世の中では、会社で勤め人してたり日々の生活に追われていたりすると、遠からず追いきれなくなってしまうので、この本の著者、ライターという、そういう話をきちんと整理して覚えていてくれる職業は、やはり世の中に必要なのだと思いました。
良い読書でした。おすすめ。
2021-06-13 11:35
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