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宇宙戦争 [本と雑誌]

宇宙戦争 (創元SF文庫) 宇宙戦争 (創元SF文庫)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2005-06
今月のSFノルマはH・G・ウェルズ。

SFの勉強するなら読んでおかないとなあ、ということで宇宙戦争を読み倒しました。

相変わらずウェルズの小説は読みやすく、サクサクとページが進むので爽快感がありますね。

内容は、解説するまでもなく有名ですが、火星人が地球に攻めてきて人類が全滅寸前にまで追い込まれますが、火星人は地球の病気に耐性がないため全滅して辛くも救われた、というお話です。

火星人の戦闘機械がレーザーぶっぱなすのは知ってましたが毒ガスまで使うことは知りませんでした。火星人全滅の顛末も併せて考えると、このころにBC兵器(光学兵器やロボット、パワードスーツまで)を本格的に取り上げているあたり、ウェルズというのはある意味で恐ろしい人ですねえ。

後に続くあまたの侵略もののテンプレートになった展開は今の視点じゃ新鮮味はないだろうなあ、と思っていたのですが、ところがどっこいそんなことはまったくなく。

筋も結末も知っているのに、過酷なサバイバルを続ける「私」の旅路は驚くべき臨場感にあふれ、身に迫ってきて正直彼と一緒になって何度も怖くなったりドキドキしたりしました。

少し前まで遊んでいた「ゾンビサバイバル」で経験した様々なイベントや一喜一憂が思い起こされて、そういう面でも妙に親近感を感じたなあ。

特徴的なのは、徹底して固有名詞がでてこないこと。有名人や引用記事の著者(ウェルズの自作原稿ですが(笑))を除いて、すべてのキャラクターが、私とか砲兵とかで描かれるのが意外でしたがウェルズらしい構成だなと思いました。

この手の翻訳SF小説は巻末の解説記事も当時の世相などがわかって面白いのですが、火星人のモデルがウェルズが予測していた未来人の似姿であるとか、この作品自体が全くのオリジナルというわけではなく、当時の流行の作品群の集大成であるとかは興味深く読ませていただきました。

手軽く読めますし、面白いですし、昨今のSF作品への見方も少し変わってきますので、是非お勧めしたい一冊でした。

良い読書でした。今夜は火星の夢を見るのかなあ。

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