妖精物語からSFへ [本と雑誌]
今月のSFノルマはロジェ・カイヨワ。
思想家として知られるこの人にSF周りの著作がるとは知りませんで、先日の神田古本まつりで偶然出会ったのを機に手に取ってみました。
内容としては物語としてのSFではないのは予想通りで、近代化以前の妖精物語から、近世の幻想小説、そして近代のSF小説までをカイヨワなりの視点で系統立てて分類するというものでした。
神話が不可思議ではない時代の妖精と、科学が世界を解き明かし始めた時代の妖精は、同じものでも側面が全く違うという話や、SFが現代におけるかつての妖精物語である点など、実に面白い視点での論説です。
二章では西洋y日本、中国における、夢に関する物語や奇跡の分類を述べ、三章ではお待ちかね、石が描く偶然の芸術に関して語られています。
あまりこの手の思索の著書を読む機会がなかったので色々と新鮮でした。ぼちぼち慣れ親しみつつあるSFに対する新たな視点を開かれたのは面白かったです。
なんとなく思っていることでも、具体的に言語化してみると、また違った認識になるものですねえ。
良い読書でした。いつかカイヨワの「石が書く」も入手したいですね。
2018-12-18 21:07
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