バロック協奏曲 [本と雑誌]
今月のSFノルマはアレッホ・カルペンティエーレの「バロック協奏曲」
今月のSFノルマ再開ということで。
まあ再開と言いつつのっけからSFじゃないのですが。僕のような新参のSF読みからすると憧れのレーベル、サンリオSF文庫の1冊を入手できたので、これをSF扱いということで読んでいました。
ページ数は200ページにも満たない本ですが、のんびり1種間ぐらい読んでいた気がします。
これまでに読んだことのないタイプの物語で、小説というか、叙述詩というか。演劇の様子を文章に落とし込んだような本でした。
時代ははっきりと明示されておらず、読み始めは中世時代にも思われましたが、読み進めると大航海時代の南米からヨーロッパへの旅路のようでもあり、最後は近代に来ているような気もする、不思議なお話です。
物語の最初は南米で財を成し、銀を有り余るほど持った裕福な人物が、お供の音楽家を連れて欧州に凱旋するような内容です。
その道筋には常に音があり音楽があり、過激があり、騒々しさがあり、活気がありむさぼるような地方の食事があり、
ストーリーを追うというよりも、目まぐるしくあくぁるミュージカルの場面転換を文章で追っているような激しい内容の文章でした。
もう本当に目まぐるしく人物と場面と舞台が入れ替わるので、読んでいて追うのが大変でしたが、理解しがたい文章からも、あふれるような熱気と興奮ばかりは伝わってくるという。
まさに協奏曲といった本で、これは小説として読む形の壮大な楽曲の楽譜なのではという感じでした。
面白かったか面白くなかったかでいえば面白かったのですが、理解できたかという場半分も理解できなかったかなあと思います。これは読み込めば読み込むほど面白くなる本じゃないかなとも思いました。
もう一遍、ノアの箱舟などに代表される、世界中の洪水と箱舟の登場人物が、洪水のさなかに一堂に会して交流するという、世界中の聖書と神話に献花売るような短編が掲載されていて、これが短いながら面白かったです。
自分たちは神に選ばれた救世主だと思っていた賢者たちが、それぞれの神に絵r田ばれただけでありふれていたという流れと、髪の救済のはずの洪水の後、再生した人類が早々に頃居合を始める流れなどは、ものすごい皮肉というか、ブラックユーモアを感じました。
サンリオSF文庫以外では書籍化されていないようなので入手は難しいと思いますが、刺激的な読書でした。読んでいて楽しかったです。
2017-11-11 20:22
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