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火星の人(上) [本と雑誌]

今月のSFノルマはアンディ・ウィアー。初めて読む作家さんです。

過日に公開されたSF映画「オデッセイ」が、もお至極面白かったので原作読んでみました。今月は上巻、来月下巻ですね。

マーク・ワトニーは、第三次火星有人探査チームのクルー。滞在わずか6日目にして大嵐に見舞われ撤退したチームに、不慮の事故で置き去りにされ、火星上でたった一人残されることになります。

幸いにしてNASAが熟慮に熟慮を重ねた装備は嵐を耐えきり、当面の生存には問題ありません。ですが地球から火星はあまりに遠い。

水と空気はどうにかなるが、どう計算しても地球からの第一便が最速で届く遥か前に彼は餓死する。

かくして地球との連絡も立たれた状態で、彼はたった一人、サバイバルを開始するのです。


大筋は映画で公開されているので省きますが、読んでいてウウムとうなるのは、まったくのハプニング続きの偶然の重なりのように見えて、その実緻密な計算に裏打ちされた、ガチの火星生存シミュレーションでしょうか。

まず探査6日目と早期に孤立したことで、運び込まれていた食料や何やらの消耗品は、ワトニー一人にとってはずいぶんと余裕があります(それでも食料は圧倒的に足りないのですが)

またたやすく絶望するような状況ながら、それでも常に行動をし続けるモチベーションを持てる人格として、ワトニーという青年をデザインしたのは理にかなっています。

彼は人並みに悪態をつき、わがままを言い、ブラックジョークや下ネタを連発しますが、一方で絶望に強いメンタリティを持ち、創意工夫に優れ、一方で冷静に状況を分析して為すべきことを1つずつつ重ねていくことを苦としない性格です。

まさにサバイバーとしては理想的と言えるでしょう。そしてそういうメンタリティだからこそ、小説の主人公として実に上質なエンターテインメントを提供してくれるのです。

物語は緻密に設計、構築されたシミュレーションの上に、わとにーというキャラクター、NASAクルーの死に物狂いの尽力。世界中の人々の関心。

そしてワトニーを結果的に置き去りにしたアレス3クルーで組み立てられるのです。

これで面白くならないはずがない。割と時間を忘れて読みふけってしまいました。

実に良質の読書でした。お勧めです。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: アンディ・ウィアー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/12/08
  • メディア: 文庫



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