GMのシナリオこぼれ話・その五 [TRPG]
さて正月三が日も過ぎつつある昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか?
ああ、行っちゃわないで正月休み(笑)
まあバカなことを言っていても始まらないので、記事を始めてみましょう。
無一文が実際に書いたシナリオをネタに、制作時のアレコレの裏話を、主にお話づくりの観点で解説してみる記事。とびとびで書いていますが、その五回目です。
まあ俺程度のストーリーテラーが考える程度の事なんざ―大したことはないのですが、TRPGクラスタを見ていると、時々お話づくりに苦労されている方を見かけるので、まあ何かの足しになればラッキー程度でございます。
今回ネタにするシナリオは、昨年暮れに遊んだスターレジェンド「超絶の破壊神」です。
シナリオ:http:// tenkamu teki-no -muichi mon.blo g.ocn.n e.jp/bl og/2012 /12/pos t_7510. html
プレイレポ:http:// tenkamu teki-no -muichi mon.blo g.ocn.n e.jp/bl og/2012 /12/pos t_3027. html
今回、基本ラインに据えたのは、以下の2点。
1:キャンペーン最終回一個前、ということで、これまで敷いてきた伏線を纏める
2:今回主役の順番が来たPC、ナガセ・リョウガ(PL:鋼鉄の錬金術師)に踏み込む
1点目は、これまでに集めてきた地球碑文を地球として再生するためのトリガーとなる地球碑文“故郷”を踏まえたシナリオにすることが基本ラインとなります。
重要NPCであるカエデや、マリアナ・サンクテット捜索課をクローズアップすることを目指すことにします。
で、問題なのが2の方。
PLがゲッターロボシリーズの大ファンでして、もともとワンオフセッションとして開始したこのキャンペーンの1話でキャラクターを作成した際、趣味を全開に「ゲッターマシンに乗って宇宙を旅する記憶喪失の流竜馬」というキャラクターを作り上げました。ゲッターロボのファンであれば、「なるほどなあ」と思っちゃうようなキャラクター造形ですね。
スターレジェンドはスペースオペラTRPGですので、ゲッターロボという作品とは、とある意味で親和性が高いのですが、ゲッターロボっていうのはその作品の方の個性が強すぎるので、キャンペーンを進めていくうちに扱いが難しくなってきた部分もありました。
この難しいキャラクターをスターレジェンドで主役に据えるにはどうしたらいいか。GM絶賛頭を抱えます(笑)
ともあれ、主役をはるPLの意向と設定をベースにせねばならぬということで、あらためてPCの設定と、今回のセッションでやってほしいことなどを、鋼鉄の錬金術師さんに訪ねてみました。
結果、帰ってきた答えは、要約すると以下の通り。
a)ナガセ・リョウガは流竜馬の異次元同位体である。(つまりゲッターロボの宇宙は別に並行宇宙として存在する)
b)この宇宙に侵入したゲッター線は、あまりの危険性から抹殺者(スターレジェンドにおける敵役)によって車弁慶と共に封印されている
c)さらに侵入しようとするゲッター線は、巴武蔵が必死に制御中
d)神隼人は行方不明
e)ゲッターロボの主役4人は、ゲッターの戦士としてゲッター線に選ばれた存在
f)今回のシナリオに関しては、リョウガの過去を知る人物に登場してもらって過去を取り戻したい
とのこと。
さてさて。いかに料理したものか・・・。
あれこれ考えあぐねていたのですが、この設定、どう考えてもリョウガって記憶取り戻したら自分の世界に帰るよね。
ゲッター線の危険性と、それを侵入させまいとする戦士たちの活動を見るに、竜馬が自分を取り戻して全力が出せる(ゲッターロボはパイロットが三人いて初めて実力を発揮するってーのは、原作ゲッターに共通する要素)ようになったら、押し戻す、んだろうなあ。そしてこの宇宙に汚染物質(という呼び方もかなり大概ですが、もらったメールでの扱いを見るに、この言い方があってる)を残さないようにするのでしょう。とすると、魂レベルでゲッター線に汚染されているであろうリョウガも残る道はないことになる。
だとして。キャンペーンとしては、リョウガの退場は設定的にも戦力的にも、非常に痛いんだが、だがしかしそこに踏み込まずして、リョウガのシナリオと言えるのか。
試しにゲッター線の設定を織り込んで、お茶を濁す程度に設定公開するシナリオ案も考察しては見たんですが、それやって鋼鉄の錬金術師さん以外が楽しめるのかというと、かなり疑問ですし、鋼鉄の錬金術師さんもその程度のフレーバー要素で真剣になってくれるとは思えない。
ならガチでいきましょう。
3か月ぐらい悩んだ末にそう決めました。ガチで行く以上、敵役はゲッターロボの世界における最強存在、ゲッターエンペラーです。
さてそこからがまた苦労です。リョウガの過去を知る人物とすると、まあゲッター世界からの登場人物になるわけですが、弁慶、武蔵に関しては身動きが取れず、素直に神隼人を出しても驚いてはもらえない上に、あいつのロールプレイは俺には無理です(笑)同じ理由で、ゴール、ブライ、早乙女博士も却下。
だとすると、ノーマークの重要人物が出てくるのがいい。
ここでGM、はたと思い出します。
「そういや流竜馬って妹いなかったっけ?」
早速ウィキペディアで調べてみると、竜馬には事故死した妹がいたというエピソードが、TVシリーズに登場しています。しかもその話では、妹に化けて竜馬を揺さぶろうとした恐竜帝国の女戦士が、逆に竜馬に惚れてしまい、最後は身代わりになって死んでいくという熱い展開であることが分かりました。
これを使わない手はないということで、彼女に登場していただくことに。本物の妹と、その女戦士の精神を核にしたヒロインを登場させて、その人を護ってもらうシチュエーションにすれば、意外性もあって面白いんじゃなかろうか。
ここでようやく、キャンペーンの下敷きを入れる余地ができて、彼女が存在するためのエネルギーとして、地球碑文“故郷”が使われている、ということにします。竜馬にとっては故郷の記憶の具現であるわけですから、つじつまもあいますし。
さてここまでざっくり組み上げましたが、設定上仕方ないとはいえ、いくらなんでも頑張ってシナリオクリアした結果PCが退場してしまうのは、TRPGとして面白くないですし、フラストレーションばかりを押し付ける羽目になります。なので、リョウガが残るための選択肢を仕込むこととします。
丁度、鋼鉄の錬金術師さん相手にセッションをするときに試してみたいアイデアがありまして。
鋼鉄の錬金術師さんというのは特殊な人で、誰か、何かを「護る」ことを常に信条にしている人です。実際、NPCとかを守れずに死なせてしまった場合にマジ切れ寸前になるぐらい徹底しています。
その信条は信念を超えてリアルのパッシヴスキルにまで進化していまして、GMするときでもPLするときでも、回避、防御系のダイス目のクリティカル率が6割を超えるという恐るべきもの。2D6の期待値も10以上に変貌するのですから、もう魂レベルで自分自身を調教済みなわけです。
そんな彼ですが「じゃあ、護るべきものが二つあった場合、どちらかを選ばなければならないとしたら、彼はどうするのか?」と。
この命題をぶつける機会を探していたのですが、今回のシナリオはゲッターの世界とスターレジェンドの世界と、どちらに居場所を求めるかという構造になるので、うってつけではなかろうかなと。
ということで、残る選択肢にも守るべきものを用意し、それと妹のどちらを護ることを選ぶかで、シナリオが分岐するようにしました。
丁度、これまでのキャンペーンの中で、郷田みのりという天才マッドサイエンティストの女性(一応22歳だが外見は小学生)がリョウガに懸想しており、色々とネタになってくれていたので、スターレジェンドの代表者である彼女を護る場合は、この宇宙に居場所を残せることにしようかと。
では、みのりちゃんを護る理由付けがほしいところですが、ここが非常に難航しました。
今回のシナリオでは、襲い来るゲッター線の化身、ゲッターエンペラーを敵役に配置することは既に決めていましたが、ぶっちゃけエンペラーとみのりちゃんに接点が無いんですね。さてどうつなげようかと。
加えて、みのりちゃんのルートに入った場合は、ゲッター線の汚染をこの宇宙に残さないために、ゲッターロボの宇宙に帰る以外の説得力のある道筋を用意しなければなりません。
単純にみのりちゃんのスーパー発明品が出来上がってそれで万事解決とあっては、これまで積み重ねてきた+石川賢先生のゲッターロボまで勝手に背負ってるリョウガというキャラがあんまりにもあんまりですので、そこに一つ、あっと言わせるひとひねりがほしいわけです。
この件、さらに1か月ぐらい悩んでいまして、どうにもアイデアが出ないなあと思った時、酒の席で鋼鉄の錬金術師さんとも共通の悪友である、オチさんに相談したところ。
「うーん、難しいけど、ゲッター線みたいな、進化して最強を目指す存在が、何かを殺そうとするっていうのは、自分の創造主を殺して神を超えるってのが定番じゃない?」とのアドバイスをいただきました。
言われたその時は「いやでもゲッター線をみのりちゃんが作ったことにするのは無理があるよ。」と一笑に付したのですが、酒を飲みながらよくよく考えてみると、これは意外に有効なブレイクスルーではないかと。
つまりはこうです。
みのりちゃんがゲッター線の進化の基礎となったものを創造し、それがゲッターロボの宇宙で進化してゲッター線になった。
現在はもう手が付けられないほど凶悪になってしまっているが、創造主であるみのりちゃんであるなら、その原型を知っているわけで、そこからきれいさっぱり消失させることができる。
つまり汚染物質をこの宇宙に残さずに、事態を解決するブレイクスルーになるわけですね。
これなら状況に説得力もできますし、少々不自然な点はありますが、「まあみのりちゃんとゲッター線なら何でもアリだろう」的に細かいところには目をつぶることができますから、これはいけるな、と。
かくしてオチさんに礼を言いつつ、今回のシナリオの骨子は固まったわけです。
ここまで出来上がれば、後は具体的なシナリオ設計を組み上げて、書き上げるだけです。
設定語りが増える部分は、退屈にならないように、数々のイベントを仕込みます。具体的にはこんな感じにします。
スターレジェンド特有の抽象マップ制を利用し、「ファントム・プラネット」に紹介されている、個性豊かな既知宙域の惑星を巡り(ちなみにバリエーションが偏らないように、イベントを仕込む惑星はダイスで決めました)、惑星の特色を生かした試練を突破することで、そこに封じられたゲッター線の残滓「ゲッター碑文」を回収するというのを基本のシナリオ展開としてすえます。これは天下繚乱ギャラクシーの2巻で使われた手法の踏襲となっています。
そして、各所を回り、ゲッターロボの宇宙のデータや、ゲッターの戦士と交流することによって、ゲッター方面の設定を次々に明らかにしていく、という流れで、リョウガとゲッター線の過去を紐解いていく流れを組み上げました。
妹ヒロインと、みのりちゃんのどちらかを選ぶことで、この旅の過程にて、それぞれ違った真実が明らかになり、結末が変わるという形で、簡易のマルチエンディングを仕込みました。
一応、両方を護る事を選んだルートも設定しておき、鋼鉄の錬金術師さんががんばって、リョウガのパートナーの座を奪い会っていがみ合うヒロイン二人を説得すれば、トゥルーエンドとしてどちらの宇宙も選べるような結末も用意しておきますが、まあラブコメが苦手な鋼鉄の錬金術師さんは、そこまで器用じゃなかろうなというあたりは視野に置きつつ。
1か月ほどでシナリオは完成。自分で言うのもなんですが、かなりのエネルギーをつぎ込んで組み上げた自信作でした。
さてセッションやってみた結果ですが、プレイレポートにもある通り、鋼鉄の錬金術師さんは妹ヒロインのルートを選択して、ゲッターロボの宇宙へ帰る結末を迎えました。
8割がた想定していたエンディングでしたが、予定調和ということは全くなく、色々と笑いの神が下りてきて大うけだった部分や、はたまたゲッターロボ好きの鋼鉄の錬金術師さんに、存分にゲッター用語を熱く叫んでいただくことができた、良いセッションになったともいます。
書いている間は結構苦しかった、難産シナリオでしたが、出来栄えと、セッションの楽しさには満足できた、良いシナリオになったと思います。
リョウガが退場した結果については、いずれ鋼鉄の錬金術師さんに酒でも飲ませながら、ゆっくり感想を聞きたいところですねえ。今度の身にでも誘いますか。
さて、そんなところで今回のお話はおしまいです。
自分の備忘録も伏て多喜二ですが、誰かの何かに助けになったらば幸いです。
ではでは、どっとはらい。
ああ、行っちゃわないで正月休み(笑)
まあバカなことを言っていても始まらないので、記事を始めてみましょう。
無一文が実際に書いたシナリオをネタに、制作時のアレコレの裏話を、主にお話づくりの観点で解説してみる記事。とびとびで書いていますが、その五回目です。
まあ俺程度のストーリーテラーが考える程度の事なんざ―大したことはないのですが、TRPGクラスタを見ていると、時々お話づくりに苦労されている方を見かけるので、まあ何かの足しになればラッキー程度でございます。
今回ネタにするシナリオは、昨年暮れに遊んだスターレジェンド「超絶の破壊神」です。
シナリオ:http://
プレイレポ:http://
今回、基本ラインに据えたのは、以下の2点。
1:キャンペーン最終回一個前、ということで、これまで敷いてきた伏線を纏める
2:今回主役の順番が来たPC、ナガセ・リョウガ(PL:鋼鉄の錬金術師)に踏み込む
1点目は、これまでに集めてきた地球碑文を地球として再生するためのトリガーとなる地球碑文“故郷”を踏まえたシナリオにすることが基本ラインとなります。
重要NPCであるカエデや、マリアナ・サンクテット捜索課をクローズアップすることを目指すことにします。
で、問題なのが2の方。
PLがゲッターロボシリーズの大ファンでして、もともとワンオフセッションとして開始したこのキャンペーンの1話でキャラクターを作成した際、趣味を全開に「ゲッターマシンに乗って宇宙を旅する記憶喪失の流竜馬」というキャラクターを作り上げました。ゲッターロボのファンであれば、「なるほどなあ」と思っちゃうようなキャラクター造形ですね。
スターレジェンドはスペースオペラTRPGですので、ゲッターロボという作品とは、とある意味で親和性が高いのですが、ゲッターロボっていうのはその作品の方の個性が強すぎるので、キャンペーンを進めていくうちに扱いが難しくなってきた部分もありました。
この難しいキャラクターをスターレジェンドで主役に据えるにはどうしたらいいか。GM絶賛頭を抱えます(笑)
ともあれ、主役をはるPLの意向と設定をベースにせねばならぬということで、あらためてPCの設定と、今回のセッションでやってほしいことなどを、鋼鉄の錬金術師さんに訪ねてみました。
結果、帰ってきた答えは、要約すると以下の通り。
a)ナガセ・リョウガは流竜馬の異次元同位体である。(つまりゲッターロボの宇宙は別に並行宇宙として存在する)
b)この宇宙に侵入したゲッター線は、あまりの危険性から抹殺者(スターレジェンドにおける敵役)によって車弁慶と共に封印されている
c)さらに侵入しようとするゲッター線は、巴武蔵が必死に制御中
d)神隼人は行方不明
e)ゲッターロボの主役4人は、ゲッターの戦士としてゲッター線に選ばれた存在
f)今回のシナリオに関しては、リョウガの過去を知る人物に登場してもらって過去を取り戻したい
とのこと。
さてさて。いかに料理したものか・・・。
あれこれ考えあぐねていたのですが、この設定、どう考えてもリョウガって記憶取り戻したら自分の世界に帰るよね。
ゲッター線の危険性と、それを侵入させまいとする戦士たちの活動を見るに、竜馬が自分を取り戻して全力が出せる(ゲッターロボはパイロットが三人いて初めて実力を発揮するってーのは、原作ゲッターに共通する要素)ようになったら、押し戻す、んだろうなあ。そしてこの宇宙に汚染物質(という呼び方もかなり大概ですが、もらったメールでの扱いを見るに、この言い方があってる)を残さないようにするのでしょう。とすると、魂レベルでゲッター線に汚染されているであろうリョウガも残る道はないことになる。
だとして。キャンペーンとしては、リョウガの退場は設定的にも戦力的にも、非常に痛いんだが、だがしかしそこに踏み込まずして、リョウガのシナリオと言えるのか。
試しにゲッター線の設定を織り込んで、お茶を濁す程度に設定公開するシナリオ案も考察しては見たんですが、それやって鋼鉄の錬金術師さん以外が楽しめるのかというと、かなり疑問ですし、鋼鉄の錬金術師さんもその程度のフレーバー要素で真剣になってくれるとは思えない。
ならガチでいきましょう。
3か月ぐらい悩んだ末にそう決めました。ガチで行く以上、敵役はゲッターロボの世界における最強存在、ゲッターエンペラーです。
さてそこからがまた苦労です。リョウガの過去を知る人物とすると、まあゲッター世界からの登場人物になるわけですが、弁慶、武蔵に関しては身動きが取れず、素直に神隼人を出しても驚いてはもらえない上に、あいつのロールプレイは俺には無理です(笑)同じ理由で、ゴール、ブライ、早乙女博士も却下。
だとすると、ノーマークの重要人物が出てくるのがいい。
ここでGM、はたと思い出します。
「そういや流竜馬って妹いなかったっけ?」
早速ウィキペディアで調べてみると、竜馬には事故死した妹がいたというエピソードが、TVシリーズに登場しています。しかもその話では、妹に化けて竜馬を揺さぶろうとした恐竜帝国の女戦士が、逆に竜馬に惚れてしまい、最後は身代わりになって死んでいくという熱い展開であることが分かりました。
これを使わない手はないということで、彼女に登場していただくことに。本物の妹と、その女戦士の精神を核にしたヒロインを登場させて、その人を護ってもらうシチュエーションにすれば、意外性もあって面白いんじゃなかろうか。
ここでようやく、キャンペーンの下敷きを入れる余地ができて、彼女が存在するためのエネルギーとして、地球碑文“故郷”が使われている、ということにします。竜馬にとっては故郷の記憶の具現であるわけですから、つじつまもあいますし。
さてここまでざっくり組み上げましたが、設定上仕方ないとはいえ、いくらなんでも頑張ってシナリオクリアした結果PCが退場してしまうのは、TRPGとして面白くないですし、フラストレーションばかりを押し付ける羽目になります。なので、リョウガが残るための選択肢を仕込むこととします。
丁度、鋼鉄の錬金術師さん相手にセッションをするときに試してみたいアイデアがありまして。
鋼鉄の錬金術師さんというのは特殊な人で、誰か、何かを「護る」ことを常に信条にしている人です。実際、NPCとかを守れずに死なせてしまった場合にマジ切れ寸前になるぐらい徹底しています。
その信条は信念を超えてリアルのパッシヴスキルにまで進化していまして、GMするときでもPLするときでも、回避、防御系のダイス目のクリティカル率が6割を超えるという恐るべきもの。2D6の期待値も10以上に変貌するのですから、もう魂レベルで自分自身を調教済みなわけです。
そんな彼ですが「じゃあ、護るべきものが二つあった場合、どちらかを選ばなければならないとしたら、彼はどうするのか?」と。
この命題をぶつける機会を探していたのですが、今回のシナリオはゲッターの世界とスターレジェンドの世界と、どちらに居場所を求めるかという構造になるので、うってつけではなかろうかなと。
ということで、残る選択肢にも守るべきものを用意し、それと妹のどちらを護ることを選ぶかで、シナリオが分岐するようにしました。
丁度、これまでのキャンペーンの中で、郷田みのりという天才マッドサイエンティストの女性(一応22歳だが外見は小学生)がリョウガに懸想しており、色々とネタになってくれていたので、スターレジェンドの代表者である彼女を護る場合は、この宇宙に居場所を残せることにしようかと。
では、みのりちゃんを護る理由付けがほしいところですが、ここが非常に難航しました。
今回のシナリオでは、襲い来るゲッター線の化身、ゲッターエンペラーを敵役に配置することは既に決めていましたが、ぶっちゃけエンペラーとみのりちゃんに接点が無いんですね。さてどうつなげようかと。
加えて、みのりちゃんのルートに入った場合は、ゲッター線の汚染をこの宇宙に残さないために、ゲッターロボの宇宙に帰る以外の説得力のある道筋を用意しなければなりません。
単純にみのりちゃんのスーパー発明品が出来上がってそれで万事解決とあっては、これまで積み重ねてきた+石川賢先生のゲッターロボまで勝手に背負ってるリョウガというキャラがあんまりにもあんまりですので、そこに一つ、あっと言わせるひとひねりがほしいわけです。
この件、さらに1か月ぐらい悩んでいまして、どうにもアイデアが出ないなあと思った時、酒の席で鋼鉄の錬金術師さんとも共通の悪友である、オチさんに相談したところ。
「うーん、難しいけど、ゲッター線みたいな、進化して最強を目指す存在が、何かを殺そうとするっていうのは、自分の創造主を殺して神を超えるってのが定番じゃない?」とのアドバイスをいただきました。
言われたその時は「いやでもゲッター線をみのりちゃんが作ったことにするのは無理があるよ。」と一笑に付したのですが、酒を飲みながらよくよく考えてみると、これは意外に有効なブレイクスルーではないかと。
つまりはこうです。
みのりちゃんがゲッター線の進化の基礎となったものを創造し、それがゲッターロボの宇宙で進化してゲッター線になった。
現在はもう手が付けられないほど凶悪になってしまっているが、創造主であるみのりちゃんであるなら、その原型を知っているわけで、そこからきれいさっぱり消失させることができる。
つまり汚染物質をこの宇宙に残さずに、事態を解決するブレイクスルーになるわけですね。
これなら状況に説得力もできますし、少々不自然な点はありますが、「まあみのりちゃんとゲッター線なら何でもアリだろう」的に細かいところには目をつぶることができますから、これはいけるな、と。
かくしてオチさんに礼を言いつつ、今回のシナリオの骨子は固まったわけです。
ここまで出来上がれば、後は具体的なシナリオ設計を組み上げて、書き上げるだけです。
設定語りが増える部分は、退屈にならないように、数々のイベントを仕込みます。具体的にはこんな感じにします。
スターレジェンド特有の抽象マップ制を利用し、「ファントム・プラネット」に紹介されている、個性豊かな既知宙域の惑星を巡り(ちなみにバリエーションが偏らないように、イベントを仕込む惑星はダイスで決めました)、惑星の特色を生かした試練を突破することで、そこに封じられたゲッター線の残滓「ゲッター碑文」を回収するというのを基本のシナリオ展開としてすえます。これは天下繚乱ギャラクシーの2巻で使われた手法の踏襲となっています。
そして、各所を回り、ゲッターロボの宇宙のデータや、ゲッターの戦士と交流することによって、ゲッター方面の設定を次々に明らかにしていく、という流れで、リョウガとゲッター線の過去を紐解いていく流れを組み上げました。
妹ヒロインと、みのりちゃんのどちらかを選ぶことで、この旅の過程にて、それぞれ違った真実が明らかになり、結末が変わるという形で、簡易のマルチエンディングを仕込みました。
一応、両方を護る事を選んだルートも設定しておき、鋼鉄の錬金術師さんががんばって、リョウガのパートナーの座を奪い会っていがみ合うヒロイン二人を説得すれば、トゥルーエンドとしてどちらの宇宙も選べるような結末も用意しておきますが、まあラブコメが苦手な鋼鉄の錬金術師さんは、そこまで器用じゃなかろうなというあたりは視野に置きつつ。
1か月ほどでシナリオは完成。自分で言うのもなんですが、かなりのエネルギーをつぎ込んで組み上げた自信作でした。
さてセッションやってみた結果ですが、プレイレポートにもある通り、鋼鉄の錬金術師さんは妹ヒロインのルートを選択して、ゲッターロボの宇宙へ帰る結末を迎えました。
8割がた想定していたエンディングでしたが、予定調和ということは全くなく、色々と笑いの神が下りてきて大うけだった部分や、はたまたゲッターロボ好きの鋼鉄の錬金術師さんに、存分にゲッター用語を熱く叫んでいただくことができた、良いセッションになったともいます。
書いている間は結構苦しかった、難産シナリオでしたが、出来栄えと、セッションの楽しさには満足できた、良いシナリオになったと思います。
リョウガが退場した結果については、いずれ鋼鉄の錬金術師さんに酒でも飲ませながら、ゆっくり感想を聞きたいところですねえ。今度の身にでも誘いますか。
さて、そんなところで今回のお話はおしまいです。
自分の備忘録も伏て多喜二ですが、誰かの何かに助けになったらば幸いです。
ではでは、どっとはらい。
2013-01-03 16:45
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0