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緑色遺伝子 [本と雑誌]

今月のSFノルマはピーター・ディキンスン。

先日の神田古本まつりで掘ってきた古いSFです。

世界で初めて肌が緑色の赤ちゃんが生まれ、センセーショナルな話題を巻き起こしたこの事件からしばらく。緑色人の人口は増え、当たり前になったころ、一人の天才数学者がこの緑色の原因を突き止めた。

とまあ降格と非常にエキサイティングな話のようですが、上述の、裏拍子に書かれた紹介とは裏腹に、割かし静かな中に描かれる物語です。

主人公のヒューマヤンはインド人。上記の秘密の手掛かりを膨大な数字のかかわりから見出した天才数学者ですが、本編でこの緑色遺伝子がいかなるも野であるかについてはほぼ触れられていません。

それよりも、彼の中で展開される数学的な手掛かりの連鎖と、人種差別に関する一つのシミュレーションが描かれているSFでした。

テーマだけ見ると退屈そうに思えますが、読んでみると案外にすらすら読み進められてしまう感じが意外でしたね。

読みやすい文体で、またテロ組織や誘拐事件、爆破事件など、とんでもないトラブルが脈絡なく起こる辺りは結構驚きます。

本編は主にヒューマヤンから見た彼の周りと、彼の思索で描かれるので、派手な事件のわりに物語は淡々と進みます。

物語の最後も、ん愛化が解決されるさまが描かれるわけではなく、彼が投じた一隻がどうなるか、試作を巡らすあたりで幕を閉じます。

SFというと派手な物語にあたりがちですが、こういう瞑想というか、哲学のような藩士も面白いものですね。

良い読書でした。



緑色遺伝子 (1979年) (サンリオSF文庫)

緑色遺伝子 (1979年) (サンリオSF文庫)

  • 作者: ピーター・ディキンスン
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1979/06
  • メディア: 文庫



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