霧の国 [本と雑誌]
今月のSFノルマはコナン・ドイル。ドイル晩年の作品です。絶版となっています。
かの巨匠が、後年になって心霊主義に染まったという話は聞いておりますが、本作はそれが如実に表れた作品でありました。
ドイルの生み出したヒーロー、奇想天外ながらも頑迷な科学の徒であるチャレンジャー教授を背景として、主人公にして新聞記者のマローン氏と、チャレンジャー教授の娘イーニッド嬢が、マローンの取材を皮切りに様々な体験を通して、神霊の世界を冒険していく物語がつづられています。
作者の背景は知りつつ、読み終わるまで、神霊世界をチャレンジャー教授が快刀乱麻に切ってい捨てる話かと思っていたので、かの教授が最後に心霊の世界を認めることになる結末は、なかなかに意外でした。
物語としては面白く、上位の世界のとの語らいや、霊との交流など、想像もつかないような展開が続くので面白かったです。
SFを読んでいると、レンズ万シリーズをはじめとして、たいていの作品では、物質文明の上位世界として精神文明に行きつくので、この長編はその大いなる先駆けと言えるかもしれません。
読み返してみると、また違った感想が出そうな物語ですので、そのうちまた読み返してみようと思います。
良い読書でした。