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バケツ一杯の空気 [本と雑誌]


バケツ一杯の空気 (1980年) (サンリオSF文庫)

バケツ一杯の空気 (1980年) (サンリオSF文庫)

  • 作者: フリッツ・ライバー
  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 1980/01
  • メディア: 文庫



今月のSFノルマはフリッツ・ライバー

先日の神田古本まつり(https://tenkamutekinomuichi.blog.so-net.ne.jp/2018-11-03)で仕入れてきました。

タイトルは、スターレジェンドかエイジオブギャラクシーの特技名で見ていて、確か野田司令の著書でも紹介されていた覚えがあり。


スターレジェンド (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

スターレジェンド (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

  • 作者: 銅 大
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 単行本




それが何となく頭に残っていたので手を出してみました。


さてさて。

内容は、表題作を皮切りとした、短篇、中編をまとめた一冊になっています。

印象に残ったのはやはり表題作で、天体運動のいたずらで、太陽を遠く離れた地球で、空気が凍結したなか、ひっそりと生き延びる一家を描いたという、終末世界にしても相当独特な世界観がなんとも言えません。

一家のお手製シェルター以外はすべてが凍結した世界で、暖炉を囲んで話にふける一家の、なんというか、温かいようでいて、もの悲しい狂気を感じるような、不思議な空気感がすごいですね。

中編では、自動でチェスを打つマシーンを囲んだチェス大会で描かれる、新旧織り交ぜたチェスプレイヤーと、チェスマシーンが巻き起こす悲喜こもごもを丁寧に描いた内容で、現代のアルファ碁の話題などに触れていると妙な感慨があります。

現代においても決して古いと感じる内容ではなく、むしろニュース報道でない分、人間臭いものが随所に描かれていて、なんとも面白かったです。

全体的に、テクノロジーやSF的な舞台設定を背景に、その中で生きる人々の、人間臭い部分を描いたところがとても魅力的でした。

この作家の本はもっと読んでみたいですね。また探してみましょうか。

新刊で見つかると良いなあ。

ともあれ素晴らしい読書でした。この本を伝えてくれた先達には心よりの感謝を。
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