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ホーキング、宇宙を語る [本と雑誌]


ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: スティーヴン・W. ホーキング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1995/04/01
  • メディア: 文庫



SF、というには、フィクション成分は(たぶん、今のところ)ありませんが。

今月のSFノルまは、かのスティーブン・ホーキング博士。

多分、俺が最も尊敬する学者が誰かと聞かれれば彼の名前を上げるのですが、氏の訃報に触れ、そういえばその割に氏の著作を読んでないことに気付き、手に取ってみました。

物理学、量子論、そして氏の代名詞ともいえる、ブラックホールの理論の、その入り口としてあらわされた本書は、随所に氏のユーモアを交えつつ、この世界の成り立ちへの扉を開くカギにあふれていました。

単純に結論を語ったり、最新の論文を紹介するわけではなく、最新の理論に向けて、歴史的な経緯を踏まえながら解き明かしていく語り口は非常に面白かったです。

読んでいて妙にアシモフの文章に似ているなあと感じましたが、それは恐らくホーキング博士のユーモアのなせる業でしょう。僕の好きになる博士はみんな、ユーモアが上手でうれしいです。

歴史を踏まえる、と書いたように、歴史上の学者たちが築き上げてきた理論や法則を負いながら、その組み立てられ方や、発展の歴史を丁寧に描いているあたり、学問は一日にしてならずや、というのをまじまじと感じさせます。

一方で、ニュートンの意外な権威主義などの、歴史上の学者たちの知られていない一面を描いているあたり、親近感を覚えます。歴史上の偉人たちも、結局は人間だったのだなあ、と知る事が出来た面も勉強になりました。

ホーキング博士自身、実に人間臭い人であることもわかりましたし、読んでよかったです。

肝心の理論の方は、まあいいとこ3割ほどしか理解できなかったと思いますが(苦笑)それでもこれだけの多くの学者たちが束になって築き上げてきた理論御さわりをそれだけ知る事が出来たのですから大したものです。

繰り返し読めば、もっと裏界ぐ進むのだなあという印象も受けました。

大変有意義な読書でした。

氏冥福を心から祈りつつ、おそらく事象地平に旅立たれた氏の魂の前途に、幸多からんことをお祈り致します。

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