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メデューサの子ら [本と雑誌]


メデューサの子ら (1981年) (サンリオSF文庫)

メデューサの子ら (1981年) (サンリオSF文庫)

  • 出版社/メーカー: サンリオ
  • 発売日: 2020/09/24
  • メディア: 文庫



ボブ=ショウをのんびり読了。まあ本編はのんびりなどと言ってられない内容ですが。

物語は二つの舞台を交互に描きながら進みます。

一報はどうも海底で水中生活を送っている種族の世界で、小規模なコロニーが人口のすべて。日々食料と空気を駆り集めることで生き延びている世界。
こちらの主人公格はどこか心が世界から逸脱しつつも、勇敢な女性であることが描かれます。

もう一方は我々の良く知る人類が海でタンパク質源を農場で育てながら島に住んでいる世界。かつてあった機械文明は徐々に後退しつつあるさまがみてとれます。

後者はともかく、前者は中盤まで人類であることに確信が持てない描かれ方で、しかし双方ともに、にわかに起きている海流の異変を軸に物語が進みます。

それぞれのはみ出し者たちはやがて不気味な知性を持つ粘制物の介在で不幸な出会いを果たし、その生物に支配されることとなります。

一方で後者の世界の政府も何やら怪しげな動きをしており、やがてこれらの陣営は折り重なり、宇宙へと飛び出し、物語は一気に加速するのです。

前に読んだショウの作品もタイトルに掲げられたワードは1度しか出てきませんでしたが、今回も一か所比喩として触れられたのみなのが、なんとも潔いというか、拘泥しないというか。

解説で、ショウの作品の真骨頂は人物の描写だとの記述がありましたが、読んでみるとなるほど。それ尾ぞれの世界の主人公格をキーに描いている面が面白くもあり、感情移入しやすいところでもありました。

なかなかにエキサイティングで刺激的な小説です。

良い読書でした。おすすめ。


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