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眩暈 [本と雑誌]



お久しぶりの日記はSFノルマのお話。

とはいえ仕事が在宅オンリーになって生活リズムが変わったのと、シナリオっもう書かないのでノルマって感じではないですが。

前から読んでみたかったボブ・ショウの本が先日3冊ほど手に入ったので手始めに。

半重力飛翔具により、個人の飛行がカジュアルになった時代。

職務の結果航空からの落下で心身にひどいダメージを負った、元航空警察官のロブは、壊れ切った心を癒すために海外の知人の警官のもとに身を寄せます。

そこには巨大なタワーホテルのなりそこないがあり、珍走団の空版である暴翔族のたまり場となっていました。

物語は飛翔具による空への葛藤と、無軌道な若者、タワーの地主で在り過去の栄光にしがみつく老人、実直な知人警官を中心にめぐっていきます。

主にロブの視点で語られる物語は、傷ついた彼の心を通した世界が、回復に従って様変わりする様子がありありと描かれています。

老人の誇大妄想が警官の責務と衝突する中、ついに決定的な事件が起き、多くの人が、多くのものを失うこととなるのです。


ロブは冒頭傷つき疲れ果てているので、まるで「アルジャーノンに花束を」の冒頭を読んでいるような、世界は不明瞭なものであるといった感じを受けますが、彼が回復するにつれて、そして彼の回り、というのはすなわち彼の知人警官であるウィリーの周りの人間関係が明らかになるに連れて色彩を帯び、はっきりしてきます。

半重力装具というSFガジェットは出てきますし、読んでいくうちに、これはひょっとして物凄いギミックなのでは、という感じを受けるのですが、物語は人間の心理を追っていく内容なので、ロブという人間が個人飛行とどう対峙していくか、を克明に描いていると思いました。

序盤はそうでもなかったのですが、読み終えてみると非常な満足感を得る本です。終盤の展開が素晴らしいですね。

エキサイティングな読書でした。おすすめ。
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