テレポートされざる者 [本と雑誌]
今月のSFノルマはフィリップ・K・ディック。
往年のサンリオSF文庫で読んでみました。
遠い未来。恒星間をテレポートできる装置が開発され、他の惑星に植民が始まっている時代。
奇妙なことに、そのテレポート装置は一方通行。行った先から送られてくるのはビデオと通信のみである。
これに疑問を持った、てれぽー装置により稼業を失った借金間みrネオ主人公は、最後に残った会社の資産である大型宇宙船で、テレポート装置に頼らない宇宙旅行による植民性への東拓を計画する。しかし、それには多くの障害が立ちふさがっていた。
テレポート装置と恒星間宇宙旅行の比較というテーマかと思いきや、様々な権謀術数に、薬物による奇妙な幻覚。がなり立てるプロパガンダといったガジェットが、どうにも不可思議な世界を折りなおしております。
万華鏡のように目まぐるしく変化する視点と場面は、読者を幻惑していきます。なかなかにエキサイティングな本でした。
ディックって、あんまりかっちりしたプロットを組むわけではなく、思い付きと気分で文章連ねてるんじゃねえかなあと思う時がありますが、この作品はその真骨頂ともいえるかもしれません。
場面の転換が極端で、前後のつながりがよくわからなくなるのは、伊としているのかそういうものなのか。
読者をけむに巻くようにも見えますが、最後まで読んでみるとウウム、そういう結末か、と驚かされる物語でした。
最後まで投げっぱなしジャーマンなのはなんだかすごいです。
なかなか新鮮な読書でした。
2019-11-22 21:41
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